
このブログでは、釣りにまつわることを少しずつ書いていこうと思います。最初なので、なぜ私たちが釣りに関わり続けているのかを書かせてください。
魚が釣れなくても、いい日がある
釣りを始めたばかりの頃、私は釣果ばかりを気にしていました。何匹釣れたか、何センチだったか。帰り道でその日を振り返るとき、数字だけが残っている。そんな時期がありました。
いつからか、それが変わりました。まだ誰もいない朝いちばんの水辺。手元のラインだけに集中している時間。何も起こらないまま日が高くなって、結局その日は一匹も釣れなかった。それでも「いい日だった」と思って帰ることがあります。
魚を釣ること以上に、自然と向き合う時間。仲間と笑う時間。自分を取り戻す時間。そこに価値があると、私は思っています。
釣りは、何かの役に立つ趣味ではありません。生活に必要なものでもない。けれどだからこそ、日常の外側に余白をつくってくれます。忙しい人ほど、その余白がよく効きます。
水辺に立っている数時間は、仕事のことも、この先のことも、いったん脇に置ける時間です。考えないようにしているのではなく、自然と考えなくなる。あの感覚は、ほかの何かで代えるのが難しいと感じています。
「始めたい」の前で止まってしまう

一方で、釣りは始めるのが難しい遊びでもあります。
何を買えばいいのか分からない。どこへ行けばいいのか分からない。釣具店に入っても、棚の前でどれを手に取ればいいのか判断がつかない。周りに詳しい人がいれば教えてもらえますが、いなければそこで止まってしまいます。
「やってみたい」と思った人が、最初の一歩の手前で引き返してしまう。これはとてももったいないことだと思っています。
道具は、最初から良いものを揃える必要はありません。近くの管理釣り場でレンタルの竿を借りるところから始めてもいい。一日やってみて面白いと思えたら、次を考えればいい。それで十分です。
このサイトに「初めての釣りを始める」というページをつくったのは、この「分からない」を少しでも減らしたかったからです。
日本の釣具は、世界で評価されている

この仕事をしていて、もう一つ実感していることがあります。
日本の釣具は、海外の釣り人から非常に高く評価されているということです。精度、耐久性、細部の作り込み。日本のメーカーがつくるロッドやリールは、世界のどの市場に持っていっても通用します。
にもかかわらず、国内では釣り人口が減り、多くの釣具店が厳しい状況に置かれています。良いものをつくる力はあるのに、それを受け取る人が減っている。
この二つは、別々の問題ではないと思っています。始める人が増えなければ、続ける人も増えない。続ける人が増えなければ、道具をつくる側も細っていきます。
海外の展示会で日本のロッドが手に取られ、真剣に見比べられている光景を目にすると、その価値をいちばん受け取れていないのは国内なのではないかと思うことがあります。もったいない、という言葉がいちばん近い感覚です。
続けられるようにする、という仕事
だから私たちは、売って終わりにしない方法を考えてきました。
使わなくなった道具を次の釣り人へつなぐ買取のしくみ。釣り人同士がつながって情報を交換できる場。日本の釣具を海外へ届ける流通。ばらばらに見えるかもしれませんが、根はひとつです。釣りを、始めやすく、続けやすくする。それだけです。
釣り人口が減っているという話を聞くたびに、私は少し違う見方をしています。減っているのは人数であって、釣りそのものの価値ではありません。一度その面白さに触れた人が続けられる環境さえあれば、この文化は残ります。
日本の釣り文化を未来へつなぐ会社でありたい。その挑戦を、これからも続けていきます。
次回からは、日々のなかで考えたことを書いていきます。水辺で見たこと、店で聞いたこと、うまくいかなかったこと。気軽に読んでいただけたら嬉しいです。